桜ときみと

『綾野』、その歴史は古く、一説には古事記の頃からいるらしい。

ただ、『それ』に名前がついたのは、室町時代の頃だ。

土着の神で、狐。

それだけで、ただ願いを叶える存在。

そんな狐に一人の男が言った。

「俺と世界を見ないか」、と

初めて、だった。そんな偉そうな人間。

狐は問うた。

「何をくれるか。」

男は言った。

「名と、思い出と、人の温もりを、やろう。」

狐にとってはどうでもいいことだった。

ただ、興味があった、男に。

「いいだろう。人の子よ。名はなんという。」

「信長、織田上総ノ介信長じゃ。そして今日からお前は彩乃、織田彩乃じゃ。よろしくのう。彩乃」

変な顔で男は笑った。