梅さんはいろんなことを知っていて楽しかった。

梅「ところで、彰良の兄上はどんな人なんじゃ?」

彰「情に厚くて、優しくて、恥ずかしがり屋だよ。」

梅「そうか、会ってみたいのぅ。」

彰「じゃあ、行く?今壬生にいるらしいから。」

梅「壬生じゃと!?彰良の兄上は壬生浪士組なのか?」

彰「ああ、そうだよ。拾ってもらったんだ。とても、大切な人。」

梅「おんし、そげな顔も出来るんじゃの。優しい顔しちょる。」

彰「どういう意味だよ。」

梅「いつも、仏頂面じゃったけいの。」

彰「そうか?よくわからん。」

歩きながら、くだらない話をする。海の向こうには何があって、空の上には何があって、地面の下には何があるのか。

私は知っていたけど、この時代は知らないだろう。おかしくない程度で教えたり、考えたりする。

こんな時自分と彼らの違いを実感する。

転生者であり、『綾野』である私は、異質なのだと。

ん?壬生浪士組?って、新撰組!?うわー、今気づく?じゃあ、兄さまの夢は、叶わない?

そんなこと、させない。兄さまの夢は、叶う、叶えてみせる。

梅「彰良?どうしたんじゃ?難しい顔しちょるぞ。」

彰「なんでもないよ。梅さん。」

そう、なんでもないんだよ。才谷梅之介さん、いや坂本龍馬さん?

殺しはしない。兄さまの夢の邪魔をしない限り、ね。