……あれは何曜日だったかな?


9月最後の週だったことは覚えている。


今年に入って15個目の台風が、私たちの住む地域に迫って来ていた日。


その影響で、朝から小雨がパラついている中、私は君とのデートに向かった。


珍しく君が待ち合わせ場所に早く来ていたこと以外は、何もかもいつも通り。


さりげなく車道側を歩く君に、自然に繋がれた手。

すごくすごく、幸せだった。



――その日は私のリクエストで恋愛映画を見た。


お互い好き合っているのに、最終的には別れを選んだ主人公たち。


君の目には、いったいどう映っていたのだろう。



『台風が近づいているから今日は早く帰ろう』

映画館を出る時、そう言った君の瞳が、やけに寂しそうに見えた。