傷心の私に、再び衝撃が走ったのは、それから少し経ってからだった。




「……なんで……?」


午前8時半。

約束の時間から30分過ぎた頃、私は玄関先で呆然と突っ立っていた。


今、目の前で起きていることが現実なのかどうかさえ分からない。


それくらい、信じられない光景が私の瞳に映っている。




「……久しぶり」


少し気まずそうに言葉を発したのは、紛れもなく……君。


「千秋……」


本当に、夢かと思った。


泣きすぎて、目が霞んで。
幻でも見えたのかと思った。



だけど君は、何事もなかったかのように微笑む。


「良かった。

梓がしずくのケータイ繋がらないっていうから、何かあったのかと思った」



「……え?」