あの日。

梓と一緒にランチをした日。


バイトに向かおうとした私を引き止めた梓が口にしたのは、私が全く予想もしていなかった内容だった。







―――………
――……
―…


「……本当に行かなくていいの?」

「え……?」


梓の声が、普段よりワントーン低く感じる。

表情も、心なしか強張っているような気がした。


明らかにいつもとは雰囲気で、こっちまで緊張してしまう。




「……梓?」


掠れたような声で言うと、俯いていた梓が、何かを決意したように顔を上げた。


そして、ゆっくりと……

言葉を選ぶように話し出したんだ。



私が知らなかった、

知る由もなかった、



‘彼’の今の様子を――……。