テンポラリーラブ物語

 支店は、歩いて十分もかからないような場所にあった。

 本店と違ってとても小さなスペースを利用した、キオスクのようなイメージがした。

 それでも普通の家の一部屋くらいあるが、商売をするには狭苦しい。

 小さなスペースの中では、置ける商品も限られ、品数も少ないが、外に面しているためにひっきりなしに人の出入りが激しかった。

 外気もそのまま入ってくるために、まだこの季節少し足元が寒く感じた。

 ショーケースが置いてある付近に立てば、その前の通りを常に人が行き交い、気忙しい気分にさせられた。

「斉藤、よく来たな。それじゃ今日は頼むぞ」

「はい。宜しくお願いします」

 川野は常にニヤニヤとした笑みを浮かべている。

 そういう顔つきなんだろう。

 まだよく知らないので、なゆみは深く考えることはなかった。

 倉石千恵が、笑顔で迎えてくれたお陰で気持ちがなごんでリラックスできた。

 一度席を共にしてお酒を飲んでいるだけに、すんなりと溶け込めた。

 千恵は穏やかで面倒見も良く、丁寧に教えてくれる。

 初めて会った時のミナや紀子と違って、緊張せずに、千恵には無条件で心許せるものがあった。

 千恵も、ミナと同じように「サイトちゃん」と親しみこめて呼んでくれた事も嬉しかった。

 早速お客が現れ、一気に店の周りが人だかりになり、慌ただしくなっていく。

 小さな店舗だと舐めていたら、それ以上のしっぺ返しが来たように、目まぐるしく忙しくなった。

 まだそんなに慣れてるわけでもないので、なゆみは、ひっきりなしに現れる客と格闘していた。

 少し焦って落ち着かないでいると、川野が言葉をかけてきた。

「斉藤、もう少し落ち着け。それから、商品が乱れたところは常に正す」

「はい。すみません」

 暫くするとまた同じ事を言われた。

 それだけではなかった。