テンポラリーラブ物語


 一夜明けての月曜日の朝。

 どんよりとした暗い気持ちのなゆみとは対照的に、晴れ晴れとして気持ちのいい天気だった。

 出掛けに見つめた青い空に助けられ、なゆみは踏ん張ろうと気持ちを奮い起こし、嫌なことを考えないようにした。

 お酒が入ったことで氷室に失態を見せて、やむを得ずホテルに入ってしまった事。

 出てきたところをジンジャに見られてしまって、ぎくしゃくしてしまった事。

 変な宗教に引っかかって無理やり会員にさせられた事。

 氷室+ジンジャ+宗教

 と、問題が解決しないまま増え続けている。

 どれから解決すればいいのか考えているうちに、職場についてしまった。

 シャッターはまだ閉まったままだった。

 第一の難関、まずは氷室。

 どんな顔をして会えばいいのか、これはなかった事にするのが一番だと、恥も外聞も捨てて忘れたふりをすることにした。

 そうしてその難関が現れた。

 「おはようございます」

 とにかく、いつも通りを振る舞って挨拶してみるも、余計に意識し過ぎて声が大きくなった。

 氷室の出方を、ドキドキとして見れば、なゆみとは目も合わさずに、気怠く「おはよ」と返ってきた。

 氷室もまた、土曜日の自分の失態を気にしつつ、どうしようかと迷いながらいつも通りを装うとして、変に消極的になっていたとはなゆみは知る由もなかった。

 いつも通りを装いながらも二人はとても気まずく、シャッターが開いて、中に入ってタイムカードを押すまで、どちらも行き詰る思いだった。

 なゆみがロッカーの前に立って背中を向けた時、氷室はようやくなゆみを見つめ何か言いたげに口元を震わせた。

 なゆみが制服を取り出したことで、仕方なく控室から出て行った。