声のする方向を振り返ると、そこには学生っぽい男性と、金髪の外国人男性が立っていた。

 なゆみはなんだろうと、足が止まってしまい二人を見つめた。

 英語に興味を持っているために、隣の外国人が妙に気になった。

「学生さんですか?」

 物腰柔らかく、はにかんだ笑顔を添えて、様子を伺いながら積極的に質問してきた。

「いえ、その、短大卒業したとこですが、これから留学する予定の者です」

「あっ、そうですか。どちらへ行かれるんですか」

「カリフォルニア」

「ああそうですか。実はこの彼もカリフォルニアから来た人なんですよ」

「えっ、そうなんですか」


 共通の興味のある話題が出てくるとなゆみの好奇心の針が突然揺れた。

 自分の興味あることに触れられると反応しやすい体質だった。

 その男性は英語でなゆみと何を話しているか外国人に説明しだした。

 話の筋が分かると目を大きく見開いて非常に嬉しそうに感嘆した。

 なゆみに英語で話しかけると、なゆみも負けずと英語で返した。

 こういうのを待ってましたと言わんばかりに、自分も話せるんだと無意識にアピールしていた。

「英語、うまいですね」

 側で聞いていた男性は感心してなゆみを褒めた。

「いえ、あなた程では」

 謙遜しているが、褒められてすっかりいい気になってしまう。

 そしてあっという間に疑うこともせず心全開していた。