テンポラリーラブ物語

 周りがやけにうるさく何か言っている。

 皆ノリで冷やかしていた。

 なゆみは開き直って自慢するように、氷室に更にくっついた。

 カリフォルニアの青い空の下、取り囲む陽気な人々、そして側に愛する人。

 なゆみからは幸せ一杯の笑顔がこぼれる。

 氷室は、それをすくうようにそっとなゆみの頬に触れた。

 冷やかしにもめげずに二人の世界を作ると、周りは好きにしろと次第に興味をなくしていった。

 静かになったところで二人もようやく落ち着きだした。

 そこでなゆみは氷室のあの大きな手をそっと繋ぐと、氷室を引っ張る。

 そして二人だけになりたいと、キャンパス内を一緒に歩きだした。

 芝生が広がった学生達が集う広場に来たとき、なゆみと氷室も木陰の中に入って腰を下ろして寄り添った。

「ここがよく分かりましたね」

「斉藤の滞在している家に行ったら、家の人がこの学校のことを教えてくれたよ。そして来てみたら、変な男と一緒にいて、なんか困ってたし、またかって本気でびっくりした。ほんとにふらふらしてるな」

「ふらふらしてるつもりはないんだけど、なんかいつも変なのを引き寄せちゃう」

「そしたら俺もその変なものってことなのか」

「うん。そうなのかな」

「おい、調子に乗るな」

 なゆみは氷室に怒られると、それが氷室らしいと舌を出しておどけて笑っていた。

 氷室はおもむろにズボンのポケットからキティちゃんのマスコットを取りだした。