テンポラリーラブ物語


 お酒が入ると笑い声も多くなり、なゆみを楽しく見送ろうと皆が気を遣って送別会を盛り上げていた。

 面識がない人とも、なゆみは過去の失敗談など交えて楽しく盛り上がる。

 そんな一人一人の顔をなゆみは見ながら、心から湧き上がる感謝の気持ちを述べていく。
 
 最後まで本当によくしてもらったこと、そして楽しかったことを言っていると、なんだか目頭が熱くなってきた。

「サイトちゃん、アメリカ行っても頑張ってよ」

「あまり無理しちゃだめだよ」

 ミナと千恵が声を掛けてくれる。

 残りの皆も合わせて心温まるような言葉を言ってくれた。

 だが氷室だけは、テーブルの端で顔を伏せるようにグデングデンになっていた。

「おい、コトヤン。大丈夫か」

 純貴が心配する。

「ああ、大丈夫だ。これくらいなんともない」

 だがろれつが回ってない。

 千恵はなんとなくわかったような顔になり、言い出した。

「今回は氷室さんが酔っ払ったので、サイトちゃんが氷室さんをタクシーまで送っていって下さい。そしたらおあいこでなんか気持ちよく終われるでしょ」

 酒も入っているせいで皆もノリがよく、いいアイデアだとはやし立てた。

 このときこそ氷室の役に立てることもあり、なゆみもすっかり乗せられて「わかりました」とそのノリに応えてガッツポーズをとった。

 氷室はそんな話が進んでるとも分からずに、正体が無くなるほど酔いつぶれていた。