テンポラリーラブ物語

「タフク、帰ろうか」

「ねぇ、ジンジャ、あそこ行こう」

 なゆみが人差し指を向けたその先には、ホテルとかかれた建物があった。

「おい、どうした」

「ジンジャ、私もうすぐアメリカに行っちゃうんだよ。一年も会えないんだよ。その前にやっぱり、あの……」

「タフク、そりゃ俺も男だ。それくらいの欲望はある。だけど、今のタフクは俺と寝たいんじゃなくて、他の理由があってそんなこと言ってるんじゃないのか」

「えっ」

「タフクが無茶をするときは大概理由があるんだよ」

「無茶なんてしてない。私はただジンジャと……」

「本当にそうかい? もしかして氷室が関係しているんじゃないのか」

「そ、そんなことない。だってもうすぐ出発なんだよ。一年も離れるんだよ。ジンジャはそれでもいいの?」

 ジンジャは暫く考えていた。

 なゆみの双眸を見つめ、その真意を探っていた。

「分かった。それなら行こう」

 ジンジャはなゆみの手を引いてホテルへと向かった。

 なゆみは自分から言ったくせに、いざ足がそこへ向くと体が強張った。

 だが、後には引けない。
 
 それよりも、めちゃくちゃに壊れたかった。