テンポラリーラブ物語


「腹減っただろ。飯食いに行こうか」

「うん」

 ジンジャと手を繋ぎ、楽しくデートを味わう。

 それはそれでドキドキとして心浮かれた。

 女の子なら、恋をすればその人と手を繋いで、どこかへ出かけたい、デートしたいとか、夢を見てしまう。

 それが現実のモノとなった時、どこかしら幸せな気分に浸っては、その雰囲気に寄ってしまう。

 二人でご飯食べたり、街の中を一緒に歩いたり、買い物したり、そしてキスをして──

 それが幸せいっぱいの一時。

 ──でも付き合うってこういうことなんだろうか。

 なゆみはふと疑問に思った。

 食事の後、小物ショップやゲームセンターで楽しい時を過ごしていた。

 無邪気に何も考えず歩いていると、ホテルのサインが多数掲げられた通りに出くわしてしまった。

 なゆみははっとしてぎこちなくなってしまう。

 付き合うことは、全てを受け入れること。

 それは、好きだから自然の成り行きの、そのもっと先の一番大切なこと──

 それが頭にちらついた。

 もうすぐ留学の出発日が近づき、なゆみはジンジャと離れることをとても気にしていた。

 ジンジャが積極的になゆみに近づく度に、ふとその先の事を考えてしまう。

 このまま何もなく、一年離れていいのだろうか。

 それを思うと、意識し過ぎて、なゆみはうつむき加減でホテルがある通りを歩いていた。

 ジンジャは強くなゆみの手を握った。

 なゆみがドキッとしてジンジャを見つめると、メガネの奥から優しい瞳で笑いかけていた。

 自分の考えていることがバレたのだろうか。

 なゆみはもじもじと恥ずかしがった。