ジンジャの言葉が今になって重みを増してくる。
『自分の気持ちに気がついてもあの時は何もできなかった。ただ、タフクがずっと俺のこと見ててくれるといいなって思うしかできなかった』
ジンジャはなゆみが好きになったときから同じ気持ちでいてくれた。
それなのになゆみは勝手に誤解して、ふらふらと馬鹿なことばかりしていた。
自分がしっかりしてないばかりに、いろんな人を心配させて巻き込んでしまった。
なゆみは無性に自分が許せなくなっていった。
坂井は言いたいことを言って、これで用はないと氷室に一礼をしてその場からあっさり身を引いた。
蒸し暑い夜だというのに、急に温度が下がったように、なゆみの心が冷え冷えしてきた。
「斉藤、なんかもてるな。そっか伊勢君は友達のことを気遣ってお前の気持ちにすぐ答えることができなかったんだな。ということはかなり昔から両思いだったってことだ。ほんとに一人で取り越し苦労だったな」
氷室の口調が乾いていた。
さっきまでの和気藹々としていたものが嘘のようになくなった。
夏の夜だというのになゆみはどこか震えている。
何かを決心したように思いつめた表情で氷室を見上げた。
「私、ここで失礼します。今日は、いえ、今日もまたご迷惑掛けてすみませんでした」
「そんなの慣れっこさ。気にすんな」
「氷室さん……」
「なんだ?」
「私、氷室さんに会えてとてもよかったです。氷室さんが苦手だなんて言った事、本当にごめんなさい。氷室さんは尊敬できるほどの素晴らしい方です。どうか夢に向かって建築のお仕事続けて下さい。今までありがとうございました」
「なんだよ、改まって。これで終わりみたいな…… (えっ)」
「それじゃおやすみなさい」
なゆみは走っていってしまった。
最後に語った言葉はまるでけじめをつけるように、氷室ともう交流を持たないと宣言されているように聞こえた。
氷室は一人ぽつんと取り残され、呆然としていつまでもそこに立っていた。
振り出しにもどったどころか、いきなりのゲームオーバーだった。
「俺は一体何をしたかったんだろうか」
舌打ちをしては行き交う人に紛れて、とぼとぼと歩きだした。
突然崖から突き落とされたように、世界がひっくり返った。
『自分の気持ちに気がついてもあの時は何もできなかった。ただ、タフクがずっと俺のこと見ててくれるといいなって思うしかできなかった』
ジンジャはなゆみが好きになったときから同じ気持ちでいてくれた。
それなのになゆみは勝手に誤解して、ふらふらと馬鹿なことばかりしていた。
自分がしっかりしてないばかりに、いろんな人を心配させて巻き込んでしまった。
なゆみは無性に自分が許せなくなっていった。
坂井は言いたいことを言って、これで用はないと氷室に一礼をしてその場からあっさり身を引いた。
蒸し暑い夜だというのに、急に温度が下がったように、なゆみの心が冷え冷えしてきた。
「斉藤、なんかもてるな。そっか伊勢君は友達のことを気遣ってお前の気持ちにすぐ答えることができなかったんだな。ということはかなり昔から両思いだったってことだ。ほんとに一人で取り越し苦労だったな」
氷室の口調が乾いていた。
さっきまでの和気藹々としていたものが嘘のようになくなった。
夏の夜だというのになゆみはどこか震えている。
何かを決心したように思いつめた表情で氷室を見上げた。
「私、ここで失礼します。今日は、いえ、今日もまたご迷惑掛けてすみませんでした」
「そんなの慣れっこさ。気にすんな」
「氷室さん……」
「なんだ?」
「私、氷室さんに会えてとてもよかったです。氷室さんが苦手だなんて言った事、本当にごめんなさい。氷室さんは尊敬できるほどの素晴らしい方です。どうか夢に向かって建築のお仕事続けて下さい。今までありがとうございました」
「なんだよ、改まって。これで終わりみたいな…… (えっ)」
「それじゃおやすみなさい」
なゆみは走っていってしまった。
最後に語った言葉はまるでけじめをつけるように、氷室ともう交流を持たないと宣言されているように聞こえた。
氷室は一人ぽつんと取り残され、呆然としていつまでもそこに立っていた。
振り出しにもどったどころか、いきなりのゲームオーバーだった。
「俺は一体何をしたかったんだろうか」
舌打ちをしては行き交う人に紛れて、とぼとぼと歩きだした。
突然崖から突き落とされたように、世界がひっくり返った。



