「キティちゃんが好きなのか?」
「うん、大好き。きっとおばあちゃんになっても大好きだと思う。私はずっと変わらずにこのままだから」
「初めて会ったとき、リュックにそれ付いてなかったよな」
「すごい。ちゃんと見てたんですね。あの時、私、背伸びしようとしてた。大人の女性になりたいって思って、子供っぽいものを封印してたの。でも好きなものってやっぱり無理やり遠ざけちゃいけないって思った。好きなら正直に好きって私は嘘偽りなく言いたい」
なゆみは真剣に氷室の顔を見ていた。
無意識ながら、その瞳の奥には口にはできない真実が映っている。
氷室の本心もまたその瞳に吸い寄せられるように、心の扉が大きく開く。
そして気持ちを言うには今しかないと、勇気が腹の底から突然湧き上がった。
「なあ、斉藤……」
だが、無情にも熱々揚げたてのトンカツがやってきた。
なゆみもタイミングが悪かった。
昼食を抜いて腹が減りすぎて食欲には勝てず、トンカツに視線が向いて笑顔で見ていた。
氷室の開いた心の扉に、ひゅーっと風が吹き込んで、勝手にバタンと閉められてしまった。
(くそぉ、トンカツに負けた……)
「氷室さん、今なんか言いかけました?」
「いや、その、トンカツはカツ(勝つ)だけあって強いなと」
「どうしたんですか? トンカツのジョークですか? すみません、笑えませんでした」
「俺もだよ…… でも負けて泣けてくる」
「氷室さん、トンカツと何の勝負してるんですか?」
「いや、なんでもない。とにかく食おう」
「はい。頂きまーす」
なゆみはわくわくした顔つきをしていた。
それとは対照的に氷室はトンカツを睨んでいた。
「うん、大好き。きっとおばあちゃんになっても大好きだと思う。私はずっと変わらずにこのままだから」
「初めて会ったとき、リュックにそれ付いてなかったよな」
「すごい。ちゃんと見てたんですね。あの時、私、背伸びしようとしてた。大人の女性になりたいって思って、子供っぽいものを封印してたの。でも好きなものってやっぱり無理やり遠ざけちゃいけないって思った。好きなら正直に好きって私は嘘偽りなく言いたい」
なゆみは真剣に氷室の顔を見ていた。
無意識ながら、その瞳の奥には口にはできない真実が映っている。
氷室の本心もまたその瞳に吸い寄せられるように、心の扉が大きく開く。
そして気持ちを言うには今しかないと、勇気が腹の底から突然湧き上がった。
「なあ、斉藤……」
だが、無情にも熱々揚げたてのトンカツがやってきた。
なゆみもタイミングが悪かった。
昼食を抜いて腹が減りすぎて食欲には勝てず、トンカツに視線が向いて笑顔で見ていた。
氷室の開いた心の扉に、ひゅーっと風が吹き込んで、勝手にバタンと閉められてしまった。
(くそぉ、トンカツに負けた……)
「氷室さん、今なんか言いかけました?」
「いや、その、トンカツはカツ(勝つ)だけあって強いなと」
「どうしたんですか? トンカツのジョークですか? すみません、笑えませんでした」
「俺もだよ…… でも負けて泣けてくる」
「氷室さん、トンカツと何の勝負してるんですか?」
「いや、なんでもない。とにかく食おう」
「はい。頂きまーす」
なゆみはわくわくした顔つきをしていた。
それとは対照的に氷室はトンカツを睨んでいた。



