6
トンカツの店に入れば、店のオーナーが嬉しそうに声を掛けてきた。
「おっ、いつしかの少年のようなお姉さん。またいらっしゃい」
「おい、まだ言うか」
氷室がキッと睨みを利かした目つきを返した。
「いやいや、これはかたじけなかったでござる。しかし、女にしておくのはもったいないくらい、美少年になれる顔立ちだ」
「あの、それって褒め言葉なんでしょうか?」
なゆみはオーナーの例えがよくわからない。
「この人はちょっと変わってるんだ。感性が人と違うというのか拘りが強いというのか、この店のデザインを決めるときも大変だったんだ。何度も口を挟まれてやり直しだった」
「だから、氷室さんにしか頼めなかったんですよ。氷室さんは妥協することなく私の意見を取り入れて、何度もやり直しをしてくれた。感謝してますよ。 お陰でこの店も繁盛ですから」
「確かに俺もやり甲斐があった。だけど上司が上から圧力かけて、あの時は大変だったんだぞ。予算のこともあったから、いくらなんでも注文が細かすぎるって。会社がもう少しで断るところだったんだぞ。それを俺が必死に抵抗してギリギリの予算で進めたんだから」
「ほんとに氷室さんはいい仕事をしてくれた。大儀であった」
「あんた一体どこのお殿様だ」
オーナーはアハハハと笑って厨房に入っていった。
なゆみは氷室の服を引っ張って囁いた。
「あの人きっと他の星からきた王様なんですよ」
「そうかもな」
二人はテーブルに向かい合わせになって座った。
ウエイトレスが運んできたお茶を手にして、ほっと一息ついていた。
「少しは落ち着いたか」
氷室が尋ねる。
「はい。もう大丈夫です。ここに来たらすごく元気がでました」
「無理するなよ」
言葉少なかったが、氷室の声がいつもより優しくて、なゆみは心開いて安心しきっていた。
トンカツの店に入れば、店のオーナーが嬉しそうに声を掛けてきた。
「おっ、いつしかの少年のようなお姉さん。またいらっしゃい」
「おい、まだ言うか」
氷室がキッと睨みを利かした目つきを返した。
「いやいや、これはかたじけなかったでござる。しかし、女にしておくのはもったいないくらい、美少年になれる顔立ちだ」
「あの、それって褒め言葉なんでしょうか?」
なゆみはオーナーの例えがよくわからない。
「この人はちょっと変わってるんだ。感性が人と違うというのか拘りが強いというのか、この店のデザインを決めるときも大変だったんだ。何度も口を挟まれてやり直しだった」
「だから、氷室さんにしか頼めなかったんですよ。氷室さんは妥協することなく私の意見を取り入れて、何度もやり直しをしてくれた。感謝してますよ。 お陰でこの店も繁盛ですから」
「確かに俺もやり甲斐があった。だけど上司が上から圧力かけて、あの時は大変だったんだぞ。予算のこともあったから、いくらなんでも注文が細かすぎるって。会社がもう少しで断るところだったんだぞ。それを俺が必死に抵抗してギリギリの予算で進めたんだから」
「ほんとに氷室さんはいい仕事をしてくれた。大儀であった」
「あんた一体どこのお殿様だ」
オーナーはアハハハと笑って厨房に入っていった。
なゆみは氷室の服を引っ張って囁いた。
「あの人きっと他の星からきた王様なんですよ」
「そうかもな」
二人はテーブルに向かい合わせになって座った。
ウエイトレスが運んできたお茶を手にして、ほっと一息ついていた。
「少しは落ち着いたか」
氷室が尋ねる。
「はい。もう大丈夫です。ここに来たらすごく元気がでました」
「無理するなよ」
言葉少なかったが、氷室の声がいつもより優しくて、なゆみは心開いて安心しきっていた。



