3
「ただ今戻りました」
休憩を済ませたなゆみが戻ってきた。
その後、すぐに千恵が休憩に出かけていなくなると、店に気まずい空気が流れ出した。
氷室もなゆみもお互いを見ないようにぎこちなく、狭い空間で接点をなくそうとするのには無理があった。
どちらもロボットのように、不自然にカタカタしていた。
氷室を意識するなゆみ。
なゆみを意識する氷室。
沈黙が続けば続くほど、真空パックされていくように息苦しくなって行った。
なゆみが外に面したショーケースの前に立つも、客足が遠のき、誰もやってこない。
部屋の奥の隅のデスクで氷室は肘をついて、なゆみの後姿を見ていた。
一向に振り返らないのをいいことに、声を出さずに「好きだ!」と口パクして叫んでみたが、虚しいだけだった。
折角久々に二人きりになれても、何もできない自分に失望し背中を丸めていた。
そんな時「キュルキュルキュルー」っと腹の虫が大きく鳴った。
それは氷室ではなく、なゆみの方から聞こえた。
「おいっ、今のお前か」
氷室がなゆみを問い質すと、なゆみの肩がびくっと動いた
「なんで昼飯食ったお前が、食う前の俺よりも腹空かしてるんだ?」
なゆみはおもむろに振り向いて、笑って誤魔化した。
「えっ、いえ、その、へへへへ」
「何がへへへへだ。お前あの外国人と何してたんだ?」
「ええっと、その、実は、ショーンに引っ張られて床屋に連れて行かれたんです」
「床屋? 何しに?」
「日本語が話せないから、私に通訳になってくれって、それで髪を切る間ずっと彼の側にいました」
「それで飯食う暇がなかったって訳か」
「はい」
「お前、どこまでお人よしなんだよ。折角の休憩だろうが。しかも昼飯食べないと腹が空くことくらいわかってるだろ」
「ただ今戻りました」
休憩を済ませたなゆみが戻ってきた。
その後、すぐに千恵が休憩に出かけていなくなると、店に気まずい空気が流れ出した。
氷室もなゆみもお互いを見ないようにぎこちなく、狭い空間で接点をなくそうとするのには無理があった。
どちらもロボットのように、不自然にカタカタしていた。
氷室を意識するなゆみ。
なゆみを意識する氷室。
沈黙が続けば続くほど、真空パックされていくように息苦しくなって行った。
なゆみが外に面したショーケースの前に立つも、客足が遠のき、誰もやってこない。
部屋の奥の隅のデスクで氷室は肘をついて、なゆみの後姿を見ていた。
一向に振り返らないのをいいことに、声を出さずに「好きだ!」と口パクして叫んでみたが、虚しいだけだった。
折角久々に二人きりになれても、何もできない自分に失望し背中を丸めていた。
そんな時「キュルキュルキュルー」っと腹の虫が大きく鳴った。
それは氷室ではなく、なゆみの方から聞こえた。
「おいっ、今のお前か」
氷室がなゆみを問い質すと、なゆみの肩がびくっと動いた
「なんで昼飯食ったお前が、食う前の俺よりも腹空かしてるんだ?」
なゆみはおもむろに振り向いて、笑って誤魔化した。
「えっ、いえ、その、へへへへ」
「何がへへへへだ。お前あの外国人と何してたんだ?」
「ええっと、その、実は、ショーンに引っ張られて床屋に連れて行かれたんです」
「床屋? 何しに?」
「日本語が話せないから、私に通訳になってくれって、それで髪を切る間ずっと彼の側にいました」
「それで飯食う暇がなかったって訳か」
「はい」
「お前、どこまでお人よしなんだよ。折角の休憩だろうが。しかも昼飯食べないと腹が空くことくらいわかってるだろ」



