10
「タフク、何してんだ」
なゆみは皿に添えられていたケッパーをフォークでつついていたが、つるっと逃げられて、それを追いかけるように何度も刺していた。
それはどこからともなく湧き上がるもやもやと戦っているような気分だった。
「へへへ、食べ方がわからないや」
「でも、やっぱりおいしいな。なあ、タフクは料理できるのか」
「うん、多少できるよ。ずっと鍵っ子だったし、日曜、祝日も両親は仕事だったからさ、小学生のときから食べることは自分でやってた。見よう見まねで一度食べたものは自分で想像して作ったりする」
「へぇ、じゃあ、こういうのも作れるか」
「うーん、材料さえ手に入れば、よく似たものは作れるかも。だけど普段こういう素材はスーパーに売ってないから作ろうにも作れないかも」
「でも、料理は得意ってことか。いいじゃん、それ」
「えっ?」
「いや、タフクはおっちょこちょいなところがあるから、料理なんてできないと思ってた」
「いやだ、そんな風に思ってたの? ジンジャは私のこと一体どう思ってるの?」
「明るくて、楽しくて、おしゃべりで、面白くて、気配りができて、素直で素朴でかわいくて……」
なゆみは恥ずかしげに照れていた。
「そして、突っ走りすぎて、ドジで、鈍感で、ふらふらして、時々迷子になって、何するか分からないときもある」
「ちょっと、酷い」
「そうかな、これって、タフクのいいところも悪いところもどっちも知ってるってことだよ。そうじゃなかったら俺タフクのこと好きにならなかった」
「ジンジャ……」
ジンジャの言葉にドキッとさせられ、なゆみは咄嗟に俯いてしまった。
ちょうどそこに、メインディッシュが静かに二人の前に運ばれてきた。
「タフク、何してんだ」
なゆみは皿に添えられていたケッパーをフォークでつついていたが、つるっと逃げられて、それを追いかけるように何度も刺していた。
それはどこからともなく湧き上がるもやもやと戦っているような気分だった。
「へへへ、食べ方がわからないや」
「でも、やっぱりおいしいな。なあ、タフクは料理できるのか」
「うん、多少できるよ。ずっと鍵っ子だったし、日曜、祝日も両親は仕事だったからさ、小学生のときから食べることは自分でやってた。見よう見まねで一度食べたものは自分で想像して作ったりする」
「へぇ、じゃあ、こういうのも作れるか」
「うーん、材料さえ手に入れば、よく似たものは作れるかも。だけど普段こういう素材はスーパーに売ってないから作ろうにも作れないかも」
「でも、料理は得意ってことか。いいじゃん、それ」
「えっ?」
「いや、タフクはおっちょこちょいなところがあるから、料理なんてできないと思ってた」
「いやだ、そんな風に思ってたの? ジンジャは私のこと一体どう思ってるの?」
「明るくて、楽しくて、おしゃべりで、面白くて、気配りができて、素直で素朴でかわいくて……」
なゆみは恥ずかしげに照れていた。
「そして、突っ走りすぎて、ドジで、鈍感で、ふらふらして、時々迷子になって、何するか分からないときもある」
「ちょっと、酷い」
「そうかな、これって、タフクのいいところも悪いところもどっちも知ってるってことだよ。そうじゃなかったら俺タフクのこと好きにならなかった」
「ジンジャ……」
ジンジャの言葉にドキッとさせられ、なゆみは咄嗟に俯いてしまった。
ちょうどそこに、メインディッシュが静かに二人の前に運ばれてきた。



