映画を観てる間、ストーリーもそっちのけで、なゆみは事の発端からこのときのことまで、順を追ってずっと考えていた。
自分が勝手に想像して勘違いして、そこから氷室を巻き込んでしまった。
その結果、今のなゆみの心に入り込んできたものは──
映画の本編が終わり、クレジットが流れだす。
早々と帰る人がいる中、なゆみとジンジャは暫く席について、字だけが出てくるスクリーンを見ていた。
「結構面白かったかな。タフクはどうだった」
「うん、面白かった。あっそうだ。あとでチケット代返すね」
「いいよ、それくらい。俺が誘ったんだから。タフクはそういうところ律儀だよな」
「そっかな。それじゃご厚意に甘えてありがとう」
「なあ、今までさ、俺、タフクに自分の気持ち伝えてなかったよな。なんか坂井に気を遣って、言えなかったんだ」
ジンジャが気を遣っていたのは、坂井がなゆみを好きでいたのを直接本人から聞いてしまっていたからだった。
「坂井さん?」
「ああ、タフクと先に知り合ったのは坂井だったからな。ちょっと遠慮してたところあった」
なゆみは黙って聞いていた。
「でもある日、坂井が俺に、自分の気持ちに素直になれ、遠慮するなって助言してきたよ。それにタフクはつかみ所なくふらふらしてるから、縄にくくっておけとも言ってた」
「ふらふら? 縄?」
「そう、目を離すとすぐにふらふらするだろ。それにもうすぐ留学だ。このまま縄付けないでアメリカに行っちまったら、お前帰ってこなくなりそうだ…… 俺のところへ」
「えっ」
なゆみは驚くまま咄嗟にジンジャを見つめた。
スクリーンからの光がジンジャの眼鏡に反射している。
その奥には真剣に見つめる双眸がなゆみを捉えていた。
「待ってるよ。たった一年だろ」
「ジンジャ……」
辺りに人は残ってなかった。
ジンジャはそっとなゆみに近づく。
暗い映画館の中、映画のシーンさながらに、二人の頭のシルエットがくっついて一つになっている。
なゆみは突然の事に驚いて目を開けたまま、ジンジャと唇を重ねていた。
それはなゆみのファーストキスだった。
その後のことはよく思い出せない。
なゆみはどうやって家に戻ってきたのかも分からないくらいだった。
片思いだと思っていたら両思いだったことも驚きだが、ジンジャにキスをされ、本来なら心がふわふわするほど嬉しいはずなのに、驚くばかりで、放心状態になっている。
なゆみはキティのぬいぐるみを抱きしめ、ごろんとベッドの上に横になって、自分の唇を押さえていた。
何かのひっかかりを感じながらも、後戻りできそうになかった。
自分が勝手に想像して勘違いして、そこから氷室を巻き込んでしまった。
その結果、今のなゆみの心に入り込んできたものは──
映画の本編が終わり、クレジットが流れだす。
早々と帰る人がいる中、なゆみとジンジャは暫く席について、字だけが出てくるスクリーンを見ていた。
「結構面白かったかな。タフクはどうだった」
「うん、面白かった。あっそうだ。あとでチケット代返すね」
「いいよ、それくらい。俺が誘ったんだから。タフクはそういうところ律儀だよな」
「そっかな。それじゃご厚意に甘えてありがとう」
「なあ、今までさ、俺、タフクに自分の気持ち伝えてなかったよな。なんか坂井に気を遣って、言えなかったんだ」
ジンジャが気を遣っていたのは、坂井がなゆみを好きでいたのを直接本人から聞いてしまっていたからだった。
「坂井さん?」
「ああ、タフクと先に知り合ったのは坂井だったからな。ちょっと遠慮してたところあった」
なゆみは黙って聞いていた。
「でもある日、坂井が俺に、自分の気持ちに素直になれ、遠慮するなって助言してきたよ。それにタフクはつかみ所なくふらふらしてるから、縄にくくっておけとも言ってた」
「ふらふら? 縄?」
「そう、目を離すとすぐにふらふらするだろ。それにもうすぐ留学だ。このまま縄付けないでアメリカに行っちまったら、お前帰ってこなくなりそうだ…… 俺のところへ」
「えっ」
なゆみは驚くまま咄嗟にジンジャを見つめた。
スクリーンからの光がジンジャの眼鏡に反射している。
その奥には真剣に見つめる双眸がなゆみを捉えていた。
「待ってるよ。たった一年だろ」
「ジンジャ……」
辺りに人は残ってなかった。
ジンジャはそっとなゆみに近づく。
暗い映画館の中、映画のシーンさながらに、二人の頭のシルエットがくっついて一つになっている。
なゆみは突然の事に驚いて目を開けたまま、ジンジャと唇を重ねていた。
それはなゆみのファーストキスだった。
その後のことはよく思い出せない。
なゆみはどうやって家に戻ってきたのかも分からないくらいだった。
片思いだと思っていたら両思いだったことも驚きだが、ジンジャにキスをされ、本来なら心がふわふわするほど嬉しいはずなのに、驚くばかりで、放心状態になっている。
なゆみはキティのぬいぐるみを抱きしめ、ごろんとベッドの上に横になって、自分の唇を押さえていた。
何かのひっかかりを感じながらも、後戻りできそうになかった。



