テンポラリーラブ物語

 「いってらっしゃい」と皆から見送られ、しかもそこには笑って手を振っているユカリの姿もあった。

「なんか大人しいな。どうしたタフク?」

「あのさ、ユカリさんがいたよね」

「ああ、いたけど、それがなんだ?」

「あの人、ジンジャの彼女じゃないの?」

「はっ? 何言ってんだ!?」

「だって、ジンジャと親しかったし……」

「そりゃ、クラスが一緒になれば話すし、出会えば無視はできないから挨拶くらいはするよ。でもそこまで親しかったか、俺?」

「え???????」

「お前何考えてるんだ?」

 なゆみはジンジャに頭を軽くこつかれた。

 その反動で宇宙空間を遠く流れていくような気分になってしまった。

「おい、何突っ立ってんだよ。ほら行くぞ。とにかく先に腹ごしらえだ、もたもたしてたら上映時間に間に合わなくなるぞ」

「うん」

 ジンジャは早足で歩き出すと、なゆみは一生懸命追いかけた。


 時間があまりないので、簡単に済ませられるファストフードを選び、がやがやとうるさい中でハンバーガーをかじりながら、なゆみは狐につままれたような表情をしていた。

「なんか、今日のタフクは変を通り越して何かが乗り移ってるみたいだ。大丈夫か?」

「ほんにゃ?」

 ハンバーガーを頬張ってたときなので、変な声が出てしまった。

「いや、大丈夫じゃなさそうだ」

 なゆみは飲み物を手に取り、慌てて吸い込んで、無理やり喉に流し込んだ。

 そしてまくし立てるように早口で喋りだす。