テンポラリーラブ物語


 ジンジャとは英会話学校のラウンジで会うことになっていた。

 なゆみは英会話学校の前で無意識にスカートの裾を引っ張った。

 緊張して入り口のドアを潜ると、受付の人も目を見張るようになゆみの姿に反応していた。

 レッスンを取ってなかったので、軽く会釈をしてラウンジに向かうと、ジンジャはソファーに座ってそこにいた人たちと話をしていた。

 後ろを向いていたのでまだなゆみに気がついていない。

 その輪の中にはユカリも控えめに座っていた。

 思わず後ずさってしまうも、後ろから声を掛けられ自分の存在がばれてしまった。

「よっ、キティちゃん、今日はいつも以上にかわいいじゃないの」

 クラスがよく一緒になる会社員のおじさんだった。

 大きな太い声で、大げさに反応されると皆から注目を浴びてしまった。

「えっ、タフク? へぇ、お前今日は別人だな。かわいいじゃないか」

 ジンジャがソファーから立ち上がり、なゆみの傍に駆け寄ってくる。

 メガネの奥の双眸が、なゆみに釘付けだった。

「ほんと、キティちゃん、すっごくかわいい」

 そう言ったのはユカリだった。

 なゆみがユカリの対応に驚いている間も、色んな人が声を掛けてきた。

「これからどっかいくのかい」

 また会社員のおじさんがのりよく質問してきた。

「今日は俺とデートなんだよな、タフク」

 さらりと答えるジンジャの言葉を尻目に、なゆみは思わずユカリを見てしまった。

 ユカリは祝福するかの如く、笑っていた。

 周りも調子に乗って冷やかしてくる。

「そっか、デートか。キティちゃんとデートだなんて羨ましいな。次はわしと是非」

「そんなの俺が許しませんから」

 ジンジャが張り合っていた。

「おっ、妬けるね。若いっていいね」

 笑い声が飛び交って、自分をネタにして和気藹々としてる中で、なゆみは一人混乱していた。

 デート?

「それじゃタフク行くぞ」

 ジンジャに腕を引っ張られてなゆみはヨタついて歩き出した。