テンポラリーラブ物語


 そしてジンジャと約束したその土曜日。

 珍しくなゆみは、フレアワンピースを着て出勤してきた。

 ショートカットでも女らしく見えるように、カチューシャでアクセントをつけてみた。

 素材は悪くないので、少しおしゃれをするだけで、清楚な凛としたかわいらしさが出ていた。

 バッグもいつものリュックサックではなかった。

 持ち物さえも変えて、自分らしさがすっかり消えてしまった。

 なゆみは基本、動きやすいということでジーンズやショートパンツが多い。

 髪が短いのも、母親が美容師だから、ついついお気軽に切ってもらえ、気が付いたら切り過ぎて短くなっていた。

 普段から無頓着ではあるが、この日はあれこれ考えて気がついたら普段着ないものを着ていた。

 ジンジャと二人っきりで出かけることなど考えたこともなかったし、まさか映画に誘われるとも思わなかった。

 ユカリの事も、仲たがいしたことも、うやむやのままで、事が進んでいくのに正直納得がいかないでいる。

 出勤後、千恵も川野もなゆみの服装を見て、いつもと違うと言ったが、例えそれが良いと褒められても、なゆみはあまり嬉しくなかった。

 制服に着替えると少しだけほっとしていた。

 こっちの服の方が自分に似合ってないというのに。