ドラマティックな救出劇がなされても、急激に二人の距離が縮まったわけでもなかった。
職場は同じでも、会う機会は滅多になかった。
電話で話すことがあるが、それはビジネス会話で終わってしまう。
何もないまま、時間だけが過ぎていった。
あれだけの事をしてもらって、ちゃんとしたお礼をしてないことをなゆみは非常に気にしていた。
手作りクッキーを作ってみたものの、そんなもので済ましていいものかと、躊躇ってしまい渡しそびれていた。
結局クッキーはリュックに入ったままとなり、それを肩に担いで、なゆみは英会話学校へ向かった。
ラウンジで知っている仲間が楽しそうに話している輪に入り、持っていても仕方がないとそこでクッキーを皆に差し出した。
「うぉ、キティ、すごいな」
「サンキュー」
「いっただきー」
それぞれ皆喜んで食べてくれた。
そこにジンジャが遅れて輪の中に入って来た。
「よっ、タフク」
「あっ、ジンジャ」
そういえばあれからジンジャは何を言いたかったのか、うやむやになったままだった。
宗教に気を取られすぎてすっかりジンジャの事を忘れていた。
宗教だけじゃなく、氷室の事も絡んでいたと思うと、目の前のジンジャをまともにみられなくなってしまった。
そのジンジャが、なゆみの作ったクッキーを一つ手に取った。
「これタフクが作ったのか。俺もいただきー」
「あっ、そ、それは」
「ん? どうした。心配するな。とても美味いよ。ちゃんと猫の形もあるなんてお前らしいよな」
なゆみは複雑だった。
氷室の事を思って作ったクッキーをジンジャが何も知らずに食べてしまった。
恐ろしく罪悪感が芽生えてしまった。
ジンジャのことを決して嫌いになった訳じゃない。
ジンジャとは軽快なやり取りで楽しく会話が弾むし、ジンジャがちょっかいを出してきたらそれなりに喜んで相手するが、そのときの瞬間はノリもいいしとにかく楽しい。
でもそれがいつか終わりが来ると自分の中で決め付けてしまっていた。
『今は思いっきり楽しめ』と与えられたような状況。
昔は夢中でそれを追い求めていたけど、いつのまにか一歩下がって冷静に見られるようになっていた。
そうなったのも、他にも理由がある訳だが──。
職場は同じでも、会う機会は滅多になかった。
電話で話すことがあるが、それはビジネス会話で終わってしまう。
何もないまま、時間だけが過ぎていった。
あれだけの事をしてもらって、ちゃんとしたお礼をしてないことをなゆみは非常に気にしていた。
手作りクッキーを作ってみたものの、そんなもので済ましていいものかと、躊躇ってしまい渡しそびれていた。
結局クッキーはリュックに入ったままとなり、それを肩に担いで、なゆみは英会話学校へ向かった。
ラウンジで知っている仲間が楽しそうに話している輪に入り、持っていても仕方がないとそこでクッキーを皆に差し出した。
「うぉ、キティ、すごいな」
「サンキュー」
「いっただきー」
それぞれ皆喜んで食べてくれた。
そこにジンジャが遅れて輪の中に入って来た。
「よっ、タフク」
「あっ、ジンジャ」
そういえばあれからジンジャは何を言いたかったのか、うやむやになったままだった。
宗教に気を取られすぎてすっかりジンジャの事を忘れていた。
宗教だけじゃなく、氷室の事も絡んでいたと思うと、目の前のジンジャをまともにみられなくなってしまった。
そのジンジャが、なゆみの作ったクッキーを一つ手に取った。
「これタフクが作ったのか。俺もいただきー」
「あっ、そ、それは」
「ん? どうした。心配するな。とても美味いよ。ちゃんと猫の形もあるなんてお前らしいよな」
なゆみは複雑だった。
氷室の事を思って作ったクッキーをジンジャが何も知らずに食べてしまった。
恐ろしく罪悪感が芽生えてしまった。
ジンジャのことを決して嫌いになった訳じゃない。
ジンジャとは軽快なやり取りで楽しく会話が弾むし、ジンジャがちょっかいを出してきたらそれなりに喜んで相手するが、そのときの瞬間はノリもいいしとにかく楽しい。
でもそれがいつか終わりが来ると自分の中で決め付けてしまっていた。
『今は思いっきり楽しめ』と与えられたような状況。
昔は夢中でそれを追い求めていたけど、いつのまにか一歩下がって冷静に見られるようになっていた。
そうなったのも、他にも理由がある訳だが──。



