テンポラリーラブ物語

「合宿ですか?」

「はい、なゆみさんもそろそろ、参加される時期に来たと思います。ちょうど来週の土日に行われます。是非参加を」

「いえ、あの、土曜日は仕事がありますし、休めません」

「でも、みなさん、合宿参加を優先されますよ。一日くらいお休みを取られてもいいんじゃないですか」

「取りたくないです」

「それじゃ土曜日はお仕事何時に終わられるんですか?」

「5時には終わりますが」

「じゃあ、6時から途中参加されるといいです。ここから電車で30分のところですし、仕事が終わっても合宿までの移動は問題ないかと。特別にということで手配させていただきます」

「えっ、でも、こ、困ります」

「なゆみさん、よくお考えになって下さいね。ここに参加されたと言うことは神さまが常に特別にご覧になってるんですよ。それを否定することはどういうことかお分かりですね。地獄に落ちるんですよ」

「えっ、そんな」

「それに、なゆみさんは9月から留学のご予定とか。それもね、私は賛成できません。できたら一緒にここで勉強すればいいんです。ここには宣教師も居ますし、いつでも英語だって話せます」

 これにはなゆみは強く反発した。

 ぎゅっと体に力が入り、息が突然荒々しくなるほど気持ちが乱れてしまう。

「嫌です。留学は私の夢です。それを奪われるなんて絶対嫌です!」

 なゆみには珍しく、突然激しく否定する。

 池上カスミの眉が少しピクリと動いた。

 しかしすぐに気を取り直して、美しい容姿に似合った完璧な笑顔をなゆみに向けた。

「なゆみさん、どうぞ落ち着いて下さい。何も恐れることはないんですよ。ここで学べば必ずいい風に事が運びます。今までビデオをご覧になって色々と学ばれたでしょ。それになゆみさんはいつも素晴らしい感想を述べられて、私も関心してるんですよ」

 なゆみは恐ろしくなってきた、もう言葉が出ない、逃げたい。

 ──そうだもう来なければいいんだ。