テンポラリーラブ物語


「そろそろ、合宿に参加されてはいかがでしょうか」

 いつものようにビデオを見せられて、感想を述べるためにテーブルについたそのときだった。

 合宿の話が降って沸いた。

 なゆみの担当、すなわちこの世界に導いた柳瀬がジョンとタッグを組んでなゆみを信者にしようと試みていたが、なゆみが意外にもしぶとくて他の信者のようにならないのを見かね、その事務所の責任者がとうとう出てきた。

 なゆみの前に座ってにっこりと微笑んでいる。

 池上カスミ、推定26,7歳。物腰柔らかく、上品な身のこなし、そして気品溢れる服装と絶対に絶やさない聖母のような深い愛情こもった笑顔が印象的。

 美しいイメージがつく形容詞の全てが当てはまるくらい、稀に見る完璧に整った真の美女だった。

 なゆみも肌の色は白いとよく言われるが、池上カスミはそれ以上に透き通る雪のような白さを持ち、男はもちろんだが、女性のなゆみも思わず見とれてしまうほどの美しい人だった。

 でも悪く言えば、雪女に見えないこともない。

 どこかで気の置けない恐ろしさを感じていた。

 その惑わせる姿で、優しくそして笑みをたっぷり浮かべてなゆみに合宿の話を持ちかけた。

 つい魅力に魅せられて、なゆみは一瞬「はい」と条件反射で言ってしまいそうになるが、泊まり込んでまで何をするのかと思うと疑念が湧いた。