テンポラリーラブ物語

 氷室さん、私、ほんとに引っかかっちゃったみたい。


 どうしようもなく30分我慢して適当に見ていたが、視聴が終わると、柳瀬とまた向かい合い、内容の感想を尋ねられた。

「どこがよかったですか」

 なゆみは返答に困ってしまった。

 まさに氷室が言ってた通りになっている。

 それでも柳瀬の仏のような笑顔と親切な態度を邪険にできない。

 ジョンもまた英語で力を入れて説明してくる。

 なゆみは言葉を濁すこともできず、適当に覚えていたことを言ってみた。

「そうですよね。いいところに気がつかれました。その通りなんです。なゆみさんは普通の方と違って理解力があります。きっとこれは神のお導きですね」

 どんどん先へ進んでいく。

 まるで神の国へ案内されるようだった。

 ビデオの内容のことが終わると、あとは雑談が始まり、ジョンがしきりに話しかける。

「ジョンはなゆみさんのことすごく気に入ったんですって。あれからずっと忘れられないって言ってたんですよ」

 柳瀬が大げさに説明する。

「そうですか。ありがとうございます」

 形だけのお礼を言っても、この人たちは本気にとって、なゆみも喜んでいると思い込んでしまう。

 恐ろしく前向きで、有無を言わさすそこへ持っていくから、なゆみはどうしていいのか分からなくなってきた。

 暫く、毎週日曜日はこの状態がずるずると続いていった。