テンポラリーラブ物語

 それはあまりにも哀れで、助けてあげたいと思ってしまう。

 自分の言った言葉がトリガーになってしまったのなら、なゆみにもその責任はあった。

「わかりました。入りましょう。それで氷室さんの気がすむのなら。私協力します!」

 なゆみは自らホテルの入り口に向かった。

「このホテルでいいですか? それともあっちですか? もちろん私のおごりですですから、お好きな場所をどうぞ」

「斉藤…… お前」

 なゆみの機転で全てが馬鹿らしくなり、氷室の気持ちが収まるというより萎えていく。

「バカ野郎、こんなところでそんな大声出すんじゃない」

 罪悪感とその馬鹿さ加減に参ってしまい、氷室はなゆみを引き戻し、その反動で力余って抱きしめてしまった。

 なゆみは倒れ込むように氷室に抱きしめられていた。

 耳元に氷室の声が届く。

「ごめん。ほんとにごめん」

「氷室さん……」

 自分の傷に触れられると、氷室は感情をコントロールできないで、力を見せつけようと空威張りする。

 それが年下のなゆみの前だと、自分が大人の男だという事を誇示してしまい、恐ろしさを植え付けようとする。

 本気じゃないが、意地を張り続けれは、襲わざるを得なくなってしまうのかもしれない。