[利夏side]

あの日から1週間、璃莉葉ちゃんはずっと学園を休んでいた。


完全に俺のせいだよな…

いやでもこれで璃莉葉ちゃんが諦めてくれるならそれはそれでいいことだし…

てかなんで俺が女のことでこんなに悩んでるんだよ…



「王子〜、昨日自分で前髪切ったの!切りすぎちゃったかな〜?」

「王子!見て〜今日メイクいつもと違うの!気付く?」



なんか…

クラスの女ってこんなにブスだったっけ…

璃莉葉ちゃんとは天と地の差だな…



「ねぇ聞いてるのー?」

「るせーな黙れよブス」

「…え?」



あ、やば…



「お取り込み中失礼、そこの王子ちょっといいかな?」



初めて見る女の顔。



「璃莉葉の親友の立花 怜です、場所変えて話せる?」

「…わかった」



空き教室へと移動した俺たち。



「…単刀直入に言うけど、私の親友に何した?」

「…別に何も」

「…璃莉葉ずっと部屋に籠もって食事もまともにしてないの…あの子がこうなるの、あの時以来だから…」

「あの時?」

「璃莉葉ね、2つ離れたお兄さんがいたの…」



立花は一息置いてからゆっくりと話し始めた。



「あの子相当なお兄さん子でね…でも璃莉葉が中2の時にお兄さん、いなくなっちゃったの…」

「え…」

「その時も今みたいに部屋に籠もってずっと泣いて…食事もまともに取らないから体調も崩して…登校できるようになったのは半年くらい経ってからだったかな…」

「半年…」

「でもそこから璃莉葉、愛に飢えちゃってね…特に男には見境なくなっちゃった訳…定期的に誰かに抱き締めてもらわないと情緒が安定しないようになっちゃったの…ま、抱き合うだけで璃莉葉に恋愛感情はないし、それ以上のことは何もしてないんだけどね」

「じゃあビッチって噂は…」

「あー、あんなのデマデマ!どうせ抱き合ってるとこ見た誰かが言い出したんでしょ、いろんな男と抱き合ってるからそんな噂流されても仕方ないんだけど…でも璃莉葉が本気で誰かを好きになったのはあなたが初めて」

「………」

「お兄さんが今でもあの子の側にいたら璃莉葉はこんな風にはならなかったんだろうな…」

「………」