保健室のドアには保健の先生が不在を表す貼紙。


あ、そう言えば今日1日いないって朝担任が言ってたような…



「……ん」



…?

今中から声がしたような…

先生いるのかな?


ドアを少し開けたところであたしの身体は硬直してしまった。



「んッ、あ…王子ッ、そこ、いい…ッ」



奥のカーテンが閉まっているベッドの軋む音、息の荒い女の子の喘ぎ声。

そしてその子が口にした王子の名前…



「ぁんッ…ね、好きって言って…ッ」

「…好きだよ、愛してる……」



……ッ


全身から力が抜けていく。

頭が真っ白になる。

踏ん張らないとその場に崩れ落ちてしまいそう。

もう何度も聞いた大好きな声。

間違いなく、そこにいるのは、利夏くん…