車内は座席は空いていないものの、通勤ラッシュ時よりは遥かに空いている。
カーディガンを諦めたらしい利夏くんが口を開く。
「璃莉葉ちゃんさ、あの時間帯の電車乗るなら極力1人で乗らない方がいいよ」
「利夏くんはいつもあの時間の電車なの?」
「まぁ…朝苦手だし」
「なら、利夏くんとがいい!!」
「…は?」
「利夏くんと一緒がいい!!」
「………」
「……だめ?」
「だめじゃ、ないけど…」
「やった♡」
「でも俺しょっちゅう遅刻するしあの電車に絶対乗ってる保証ないよ?」
「うん、LINE教えて?」
「…小悪魔かよ……」
「ふるふる〜♪」
「……ま、いっか…」
利夏くんは渋々ポケットからスマホを出して画面を操作する。
やった!
利夏くんとLINE交換できるなんて夢みたい!!
初日にしては上出来じゃない!?
「あ、緊急時以外は送ってこないでね、基本俺からしか送らないから」
「え!?」
「当たり前でしょ、そうじゃなきゃ通知やばくてスマホ壊れる」
「あ、そっか…」
そうだよね、利夏くんのことだからLINEの友達だってきっとたくさんいて、そのほとんどが女の子で…
あたしもその中の1人、か…
特別にはまだまだ到底なれないのかな…
はぁ…
王子攻略まで先が長いなぁ…