今日の日付は8月2日だった。俺に与えられた10日間という短い夏休みを満喫したかったのだが、今日は赤道直下のアスファルトで冬着を身に着けサンバを踊っているかのような暑さのせいで、外に出ることを身体はあきらめた。

だからと言って、家にいても予定がなく、せっかくの日曜に暇を持て余していた。

この暑さの中、母は結婚式のカメラマンとして会場に行くし、父はせわしく家を出入りしているし、弟はリビングでゲームに興じている。

勉強しろって?そんな考えなかったよ。
そこで俺は、家をウロウロ、ウロウロ。
1時間ほど歩き回った。

ふと、食卓の上に1通の封筒が置いてある。
(父より・・・?)

おいおい、父さんもシャレてんな。ラブレターとか、もっと見えないとこに置いておけよな。メールとかさ、他にあるじゃんか。
父の不器用さがでている。

(面白そうだな、少し見てみるか・・)

俺は弟に気づかれないように封筒を持って洗面所へ向かった。
そして中身を取り出した。

入っていたのは〝厚い手紙〟と〝薄い手紙〟の2枚だった。
(文豪か!)
そして言葉を失った、あまりの衝撃に。