「やっぱり、そっか」
「なにが?」
いやにニヤニヤしてるこの人に
見た事のある風景を思い出したのは
いったい何でだろう?
「なんでもない」
「意味分かんない、帰る」
『りか』
「…………」
貴方を思い出すと
どうしても涙が出るのです
もう君に逢えない気がして
手を繋げない気がして
抱き締めてもらえない気がして
悲しくなるんだよ
「もう、帰ります」
「送るよ」
「…………自殺とかじゃ、ないです」
「考え事してたら、あそこに」
「…………今日は一人で帰らせてください」
そういうと、岩淵さんは立ち止まった
私をじっと見つめて
彼はこう言った
「生きろよ」


