優しい吐息




「君の名前は?」

「…………。」

「君の名前は?」

「…………りか。」

「あの人形の?」

「…………ワカメ。」


岩淵さんは頭を掻いて困った顔。

確かに、こんな子供がいたら困るか。

分かるけど、あたしには好都合。


「名前は?」

「付いて来んな馬鹿!!」

「りかで合ってる。」

「…………そか。」


どうしてこんなに笑ってるの?

からかわれてる、だけなのに。

馬鹿じゃないの?

大人のくせに餓鬼なんか信じて。

何コイツ?


まだ、あたしは知らない。

この人が、どういう人か。