優しい吐息







“ぺシッ……”



ぼやける視界から明るい世界へ

視界がクリアになって見える

死んでない……?

どうして……?



「よかった、目が覚めた……」

「…………?」



低めの声に小さな身体

ミスマッチな姿に少し驚く

ボーっとした身体を起こして、

動きにくい重い口を開けた



「誰……?」

「あ、俺?」

「あ、すいません……」

「君みたいな子を助けるための男」

「はい……?」



耳を疑った

何なの、この人

どうして、こんな事?

分からない事だらけだ



「ダメ、そういうことしちゃ」

「そういうこと?」

「誰か、悲しむ」

「他人じゃないですか、貴方」

「…………他人とかの問題じゃない」

「そういう問題です」

「そうか」



溜め息を吐くと、男はこう言った



「俺は、岩淵真人。ライフセーバー」

「ライフ……」

「一応、海で活躍してます」



変な人