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今日もかっこいい。私の唯斗。
現在朝の08時10分。誰もいない教室の鍵を開け、ひとり机に鞄を置いて、ベランダ付近で惚気けているのが私。何をしているかっていうと、私の好きな人、葛野唯斗のサッカーの朝練を見ている。
葛野唯斗(かずらゆいと)は私の幼なじみであり家が隣ということで仲がいい。
小さい頃からよく「ゆぅくん」なんて呼んでたものだ。そんな唯斗は前からサッカーが好きでこの学校に入ったらすぐ入部届けを出していた。好きということもあって、日に日に上達している。その姿を見るのがなにより好きだった。
ちなみに唯斗は顔立ちがよく、言ってみればアメリカと日本のハーフって言ってもイイくらいのイケメンで、背がとても高い。この前185とか言ってたっけ。
誰にでも紳士で、それを無意識にしちゃってるからまたこれがいい。本人は気づいてないだろうけど、何気にモテるのだ、唯斗は。
おっと、話が逸れてしまった。唯斗はいつも朝の07時30分に家を出て、8時からサッカーの朝練をしている。
もちろん私が見逃すはずがない。ちゃんと、体操を終えた頃にこのポジションから見守るのが毎回のお約束。お陰様で、無欠席無遅刻、もはや私の中で日課になっている。
あっ、今、ドリブルでシュート決めた。
笑顔で友人とハイタッチする唯斗。
笑顔が無邪気ででもかっこいい。
やっぱり好きだなぁ。
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08時20分、少し教室がざわつき始めた。
そういえば今日朝礼だ。
今日の朝練はここら辺で終わりかな、唯斗、お疲れ様。心の中でわたしはそう呟いて自分の席へと戻る。
ふと我にかえった。そして隣に立ってるオーラを放つ女の子の存在にやっと気づく。
「やっと我に返った~?……あんた、また見てたの?」
そのハスキーな声の主、私の一番の友達であり、唯斗と私の二人目の幼なじみである美人な子は束ねた長い黒髪を解いてみせる。ふわっとほんのりシャンプーの清楚な香りがした。
彼女の名前は 七瀬 彩香 。名が体を表すというように根っからの清楚美人でおまけに面倒見がいいという姉御肌特典付き。昔からよく転ぶ私は絆創膏をぺたぺた貼られてたものだ。
この子もまたよくモテるから、私の周りはいつも隠れファンばかりだった。
何気に私の幼なじみは自慢の美男美女なのだ。
「あっ、彩ちゃん、おはよう~!
今日も唯斗はー」
「唯斗は健全でイケメンでした、でしょ?」
彩香は小馬鹿にするようにクスッとわらい、
「朝礼だよ、行こう」と手を引いた。
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教室を出るや否や はたりと止まる。
前方に唯斗が。いた。
「あー…、あんたの好きな、ほら、唯斗……ってなんで隠れんのよ。」
隠れて朝から見てたりするけれど、一番の幼なじみだなんて言ってみるけど、現実ではろくに喋れもしない、こんな奴が私。
「ちょ、押さないでよ、コケるでしょ。」
あぁ、せめて声かけれたらなぁ、なんて反省しながら彩香を盾にそそくさ隣を通り過ぎようとしたその時。
「あっ、おはよう。今日、見ててくれてたでしょ?シュート決めたんだよ」
私の肩をそっと叩いて笑顔を見せる彼。
まさか声をかけられるとは思ってなかったから普通に恥ずかしい。
むしろ見てたことがバレていたなんて。
「ううう、うん!すっごくかっこよかったよ!!また明日も見てるね!」
勢い任せでなにを言っているんだ私は。
穴があったら埋められたい気分だった。
「あっはは、ありがとう。楽しみにしとくよ」
いつでも優しい唯斗はそう言うと頭を軽く ぽんぽん として、体育館へ駆けて行った。
「凄いね唯斗、ふっつうに頭を撫でるとかアイツ大丈夫か」
すかさず彩香がツッコミを入れる。
「って聞いてる?おーい?……もう先行くよ?」
余韻に浸る私の耳に聞こえたのは朝礼が始まるチャイム音だった。
そして隣に彩香はいなかった。
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今日もかっこいい。私の唯斗。
現在朝の08時10分。誰もいない教室の鍵を開け、ひとり机に鞄を置いて、ベランダ付近で惚気けているのが私。何をしているかっていうと、私の好きな人、葛野唯斗のサッカーの朝練を見ている。
葛野唯斗(かずらゆいと)は私の幼なじみであり家が隣ということで仲がいい。
小さい頃からよく「ゆぅくん」なんて呼んでたものだ。そんな唯斗は前からサッカーが好きでこの学校に入ったらすぐ入部届けを出していた。好きということもあって、日に日に上達している。その姿を見るのがなにより好きだった。
ちなみに唯斗は顔立ちがよく、言ってみればアメリカと日本のハーフって言ってもイイくらいのイケメンで、背がとても高い。この前185とか言ってたっけ。
誰にでも紳士で、それを無意識にしちゃってるからまたこれがいい。本人は気づいてないだろうけど、何気にモテるのだ、唯斗は。
おっと、話が逸れてしまった。唯斗はいつも朝の07時30分に家を出て、8時からサッカーの朝練をしている。
もちろん私が見逃すはずがない。ちゃんと、体操を終えた頃にこのポジションから見守るのが毎回のお約束。お陰様で、無欠席無遅刻、もはや私の中で日課になっている。
あっ、今、ドリブルでシュート決めた。
笑顔で友人とハイタッチする唯斗。
笑顔が無邪気ででもかっこいい。
やっぱり好きだなぁ。
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08時20分、少し教室がざわつき始めた。
そういえば今日朝礼だ。
今日の朝練はここら辺で終わりかな、唯斗、お疲れ様。心の中でわたしはそう呟いて自分の席へと戻る。
ふと我にかえった。そして隣に立ってるオーラを放つ女の子の存在にやっと気づく。
「やっと我に返った~?……あんた、また見てたの?」
そのハスキーな声の主、私の一番の友達であり、唯斗と私の二人目の幼なじみである美人な子は束ねた長い黒髪を解いてみせる。ふわっとほんのりシャンプーの清楚な香りがした。
彼女の名前は 七瀬 彩香 。名が体を表すというように根っからの清楚美人でおまけに面倒見がいいという姉御肌特典付き。昔からよく転ぶ私は絆創膏をぺたぺた貼られてたものだ。
この子もまたよくモテるから、私の周りはいつも隠れファンばかりだった。
何気に私の幼なじみは自慢の美男美女なのだ。
「あっ、彩ちゃん、おはよう~!
今日も唯斗はー」
「唯斗は健全でイケメンでした、でしょ?」
彩香は小馬鹿にするようにクスッとわらい、
「朝礼だよ、行こう」と手を引いた。
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教室を出るや否や はたりと止まる。
前方に唯斗が。いた。
「あー…、あんたの好きな、ほら、唯斗……ってなんで隠れんのよ。」
隠れて朝から見てたりするけれど、一番の幼なじみだなんて言ってみるけど、現実ではろくに喋れもしない、こんな奴が私。
「ちょ、押さないでよ、コケるでしょ。」
あぁ、せめて声かけれたらなぁ、なんて反省しながら彩香を盾にそそくさ隣を通り過ぎようとしたその時。
「あっ、おはよう。今日、見ててくれてたでしょ?シュート決めたんだよ」
私の肩をそっと叩いて笑顔を見せる彼。
まさか声をかけられるとは思ってなかったから普通に恥ずかしい。
むしろ見てたことがバレていたなんて。
「ううう、うん!すっごくかっこよかったよ!!また明日も見てるね!」
勢い任せでなにを言っているんだ私は。
穴があったら埋められたい気分だった。
「あっはは、ありがとう。楽しみにしとくよ」
いつでも優しい唯斗はそう言うと頭を軽く ぽんぽん として、体育館へ駆けて行った。
「凄いね唯斗、ふっつうに頭を撫でるとかアイツ大丈夫か」
すかさず彩香がツッコミを入れる。
「って聞いてる?おーい?……もう先行くよ?」
余韻に浸る私の耳に聞こえたのは朝礼が始まるチャイム音だった。
そして隣に彩香はいなかった。
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