ある日私が1人で校舎を歩いている時だった。

放課後の為、生徒はいない。

ちょうど理科室の前を通りかかった時に、私は聞いてしまった。


「あんた何様のつもり?女の子がそんなに好きなわけ?」


気になって、理科室の扉を少し開けて中を覗いてしまった。

そこには高嶋さんの前に正座する木村先輩がいた。


「そんなことはないよ。俺にはあかねだけだよ」

「は?何言ってるの?じゃーなんで、女の子に笑いかけてるわけ?」

「それは…」

「好かれる為でしょ?」

「うん…」


その光景に目を疑ってしまった。

高嶋さんは床についている先輩の手を踏みつけた。


「なんでそんなに好かれたいの?」

「…分からない」


痛みのせいか先輩の顔は歪んでいる。