由紀「祝福ムードの中悪いけど、僕はその子を姫にするのは反対だよ。
まだ何も分からないのに姫にして、この先何が起きるかわからないからね。」

その言葉に場が一気に静かになった。
氷が凍ったような冷たい風がどこからか吹いてきた。

俊「由紀の他に反対している人いますか?」

俊の問いかけに、後ろの方の何人かが手を上げた。

その中には隼人がいた。

俊「では隼人。何故、姫にすることに反対するんですか?」

俊に聞かれ、隼人は喋りはじめた。

隼人「はい。俺は、由紀さんが言ったようにまだこの方の事をよく知りません。もしかしたら俺たちの事を裏切る、その可能性だってありえるかも知れません。

結音さんは俺たちと同じ目線で話してくれました。
わざわざ下に降りてきてまで。しかし、それだけでは判断出来ないので、俺は反対です。」


なるほど。
そりゃそうか。急に見ず知らずのやつが現れて、いきなり姫って紹介されて誰が守ろうと思うだろうか。
まぁ、反対するならすればいい。
私は姫なんてやりたくないのだから。
これでやらずに済むなら大歓迎。


しかしそういうわけにもいかないのが人生ってやつ。

響「なら、1ヶ月与える。その間に結音にお前らが心を開けばこいつは正式に姫に。開かなければ姫にするのはやめる。
それでいいだろ?」

淡々としたリズムで話た。
まるで用意されていた台本でも読んでいるように。

響の問には誰も答えない。
無言は肯定の証。
みんな響の考えに賛成。

俊「それで決まりですね。」

奏汰「おしっ!解散!戻っていいぞー。」

その声にみんな一斉に散った。

私『…心を開かせる。ね…。』

これで開かなければ私は姫にならなくて済むって訳ね。

それなら好都合ね。

何もしなければこっちのものね……。