side 光
ある時、結奈が友達2人に誘われて飲みに行った。
相当久しぶりだったらしくて、テンションあげあげでばっちりメイクを施して出て行った。
結奈がいない間に家事を済ませて愛菜のご飯も作る。
4歳になる愛菜は言葉を覚えて俺を罵倒しまくる。
何かが気に食わない模様。
「違う!!パパじゃダメ!プータロー!」
フォークを片手に一生懸命抗議する愛菜に困り果てる。
何がダメでプータローなんだろうか…。
「パパくしゃいの!!!」
とどめの一撃を食らってしょげていると、着信が鳴った。
「愛菜ごめんねー、くしゃいパパは電話するから」
「あっちで!!」
台所の方を指差して追い払われたから仕方なく席を立って愛菜を見守りながら電話を取った。
『あ、もしもし?光?元気?何してたの?誰といる?』
「うん、俺、元気、晩ご飯、愛菜と2人」
『あっそーう?ちょうどいいドア開けて!』
マコの相変わらずのテンション。
元気だなーと思う。
つーかドアの前にいるならインターホン押せばいいのに。
ドアを開けるとマコはニタニタ気持ち悪い笑顔を浮かべて玄関に上がった。
「光、、、晩ご飯ちょーだい?」
「はいはい」
マコは時々こうして家にくる。
一人暮らしだから自炊がめんどくさいとかなんとかで。
「なーマコ」
「ん?」
リビングへの廊下を歩きながらマコを呼ぶ。
「…俺くさい?」
「え?」
「最近愛菜にくさいくさい言われて毎日ゴシゴシ洗ってんだけどさ、そんなくさいかな」
自分で嗅いでも分からないけど嗅がずにはいられない。
胸元を開けて嗅いでみてもやっぱりにおいはわからない。
と首を傾げていたら急に、本当に急に、マコが抱きついてきた。
「えっ」
すると今度は俺の背中に顔をくっつけたまま全力で鼻から息を吸われた。
そんなダイナミックに吸われたらくさくなくても臭うかもしれない。
「んーーっ。光はいつもセクシーな匂いがするよ。発情しそう」
「ちょっ…愛菜いるから」
「んふふ、いい匂い。柔軟剤かな?光の体臭かな?分かんないけど、くさくないよ」
にっこり笑って離れるマコ。
ドタドタドタドタ…!
「きゃーーー!!!」
ちょうどマコが離れるか離れないかの所を見てしまった愛菜が叫ぶ。
あまりにも遅くて心配したんだろうか…。
今の悲鳴でこのマンションに住む誰かが心配したのは間違いない。
「パパが…浮気してる…」
4歳児の言葉とは思えないワードに一瞬、狼狽える。
いや、浮気という言葉に狼狽えた。
だってマコは、こいつは、、、、、。
「愛菜、この人男だから。浮気じゃないよ」
「でも、でも、抱き合ってチューしてた」
してないしてない。
「パパ…刑務所だね…」
はぁ!?
浮気したら刑務所行きの世の中なのか…?
タタタタタッと俺の方へ来て、サッと俺の手からスマホを抜き取った愛菜は、慣れた手つきで結奈に電話をかけた。
「もしもし、ママですか?」
この電話のかけ方は結奈とその愉快な仲間たちが考えたルールで、ママですか?の問いに『うん』とか『そうだよ』とかで返ってきたら別人で、『もしもし、愛菜ですか?』って返ってきたら結奈だから話して良し、という斬新なルールだ。
きっとそう言われたのであろう愛菜は続けて話をする。
「パパが捕まるよ、ママ」
「女の人とチューしてたの」
「可愛い女の人。お家にいるの。浮気してるよ。夜逃げする?」
どこで夜逃げなんて言葉を覚えてくるのか。
やれやれとため息をつくと愛菜がスマホをん、と渡してきた。
「もしも…」
『嫁がいない間に堂々と浮気だなんていい度胸じゃないの』
「えぇ…」
『帰ったらしばき倒してやるから覚悟しなぁ』
ベロンベロンに酔っ払った結奈が怖い。
本当にしばかれそうだ。
ある時、結奈が友達2人に誘われて飲みに行った。
相当久しぶりだったらしくて、テンションあげあげでばっちりメイクを施して出て行った。
結奈がいない間に家事を済ませて愛菜のご飯も作る。
4歳になる愛菜は言葉を覚えて俺を罵倒しまくる。
何かが気に食わない模様。
「違う!!パパじゃダメ!プータロー!」
フォークを片手に一生懸命抗議する愛菜に困り果てる。
何がダメでプータローなんだろうか…。
「パパくしゃいの!!!」
とどめの一撃を食らってしょげていると、着信が鳴った。
「愛菜ごめんねー、くしゃいパパは電話するから」
「あっちで!!」
台所の方を指差して追い払われたから仕方なく席を立って愛菜を見守りながら電話を取った。
『あ、もしもし?光?元気?何してたの?誰といる?』
「うん、俺、元気、晩ご飯、愛菜と2人」
『あっそーう?ちょうどいいドア開けて!』
マコの相変わらずのテンション。
元気だなーと思う。
つーかドアの前にいるならインターホン押せばいいのに。
ドアを開けるとマコはニタニタ気持ち悪い笑顔を浮かべて玄関に上がった。
「光、、、晩ご飯ちょーだい?」
「はいはい」
マコは時々こうして家にくる。
一人暮らしだから自炊がめんどくさいとかなんとかで。
「なーマコ」
「ん?」
リビングへの廊下を歩きながらマコを呼ぶ。
「…俺くさい?」
「え?」
「最近愛菜にくさいくさい言われて毎日ゴシゴシ洗ってんだけどさ、そんなくさいかな」
自分で嗅いでも分からないけど嗅がずにはいられない。
胸元を開けて嗅いでみてもやっぱりにおいはわからない。
と首を傾げていたら急に、本当に急に、マコが抱きついてきた。
「えっ」
すると今度は俺の背中に顔をくっつけたまま全力で鼻から息を吸われた。
そんなダイナミックに吸われたらくさくなくても臭うかもしれない。
「んーーっ。光はいつもセクシーな匂いがするよ。発情しそう」
「ちょっ…愛菜いるから」
「んふふ、いい匂い。柔軟剤かな?光の体臭かな?分かんないけど、くさくないよ」
にっこり笑って離れるマコ。
ドタドタドタドタ…!
「きゃーーー!!!」
ちょうどマコが離れるか離れないかの所を見てしまった愛菜が叫ぶ。
あまりにも遅くて心配したんだろうか…。
今の悲鳴でこのマンションに住む誰かが心配したのは間違いない。
「パパが…浮気してる…」
4歳児の言葉とは思えないワードに一瞬、狼狽える。
いや、浮気という言葉に狼狽えた。
だってマコは、こいつは、、、、、。
「愛菜、この人男だから。浮気じゃないよ」
「でも、でも、抱き合ってチューしてた」
してないしてない。
「パパ…刑務所だね…」
はぁ!?
浮気したら刑務所行きの世の中なのか…?
タタタタタッと俺の方へ来て、サッと俺の手からスマホを抜き取った愛菜は、慣れた手つきで結奈に電話をかけた。
「もしもし、ママですか?」
この電話のかけ方は結奈とその愉快な仲間たちが考えたルールで、ママですか?の問いに『うん』とか『そうだよ』とかで返ってきたら別人で、『もしもし、愛菜ですか?』って返ってきたら結奈だから話して良し、という斬新なルールだ。
きっとそう言われたのであろう愛菜は続けて話をする。
「パパが捕まるよ、ママ」
「女の人とチューしてたの」
「可愛い女の人。お家にいるの。浮気してるよ。夜逃げする?」
どこで夜逃げなんて言葉を覚えてくるのか。
やれやれとため息をつくと愛菜がスマホをん、と渡してきた。
「もしも…」
『嫁がいない間に堂々と浮気だなんていい度胸じゃないの』
「えぇ…」
『帰ったらしばき倒してやるから覚悟しなぁ』
ベロンベロンに酔っ払った結奈が怖い。
本当にしばかれそうだ。