春 〜Hikaru & Yuna〜

で、何を語るの?と尋ねると真剣な顔をした健二。



こんな顔は初めて見た。



俺まで自然と真剣になる。




「この前のテレビ見た。俺、光に謝らなきゃいけないことがある」



謝らなきゃいけないこと?



なんだ?



「俺、光と葵の周りの人の情報集めて、バラまいて親父さんにお金もらってた。
Yが光だってことを教えてもらって、Yに近付くように言われて沖縄に行った」



あぁ。


あの時の。



マコが葵を連れて沖縄を訪れていた時、俺は父さんからそのことを聞いて沖縄まで会いに行った。



でもそこには健二がいて、結局葵とは全然話せなかった。



「わざとなんだ。わざとYと俺が話してるところを見せようとして俺と光を沖縄にまで行かせたんだ。でも俺は、葵がそこにいるのは知らなくて、なんでこんなタイミングなんだろうと思ってた。そしたら沖縄に住んでたマコの友達、悠希っていうちっこいのが、全部知ってた」



悠希…事故で亡くなったあの子か。



「悠希もお金もらってて、葵とマコの行動を事細かに親父さんに報告してた。どうすれば葵は困るだろう、どんなことをしたら光は人を信じなくなるだろう。親父さんはそんなことを考えて俺や悠希を動かしていた。
でも、でもね。
最初は光のためだからって聞いてたんだ。悠希はどうだったか知らないけど、俺は光のために周りの人間を1人残らず離れさせてくれって言われて。
俺馬鹿だから言われたことは信じるし、やれって言われたことはなんでもやっちゃって。
悠希の事故も、…俺が…」




この人は嘘をつくことができない素直な人。



そんなことは昔から知っているし、だからこそこの話は嘘じゃないと思った。



でも今更、という気持ちもあって健二を責める気にはならなかった。



「悠希の死は、事故じゃない。
俺が殺した」




少し俯きながら話す健二の目を見ながら話を聞く。




「悠希はその日、葵の家に泊まる予定だったけど葵とケンカして郁哉っていうマコの友達の家に行こうとして駅に向かってたんだ。こういうことも親父さんに報告しててこの話は後から聞いた。

悠希が横断歩道を渡ってると信号が点滅し始めたんだ。結構大きな通りでさ。
沖縄にいるもんだと思ってたから東京で見かけたのが嬉しくなっちゃって。
唯一Yのこととか隠さず話せる相手だったし。
後ろから声かけちゃったんだよね。
もうすぐ赤信号になるっていうのに。
案の定、悠希がこっちを見た時には信号は赤で、俺の目の前で轢かれたよ。
俺怖くなっちゃって。逃げた。
何回も警察に行こうとしたんだけど、怖くて。誰にも話せず今に至ってる」




そう、だったのか。



でもそれは。



「健二のせいじゃなくね?」