「川本君?」


その一声で我にかえる。
声を掛けたのはとても可愛い女性だった。

「えっと……?」

「これならわかるかな?」

そう言って鞄からメガネを取り出して掛けた。

「え!?まさか竹田さん?」

「うん。メガネの竹田の竹田琴音だよ。良かった覚えててくれて。」

彼女はにこっと笑ったけど、ぎこちない笑い方だった。

よく見ると目は充血していて、瞼も晴れている。
メイクで隠しているけれど、沢山泣いたのが分かった。