あの時君が伸ばした手は

ぎゅっと目を瞑る。


まぶたの裏に浮かんだのは高校の校舎だった。

誰もいない校舎。

夕焼けで赤く染まる校舎。


僕一人だけが長い廊下を歩いている。


その廊下の窓からキンモクセイが見えた。

黄色い花を咲かせたキンモクセイ。
木の下に誰かが立っている。


僕は階段を降りてキンモクセイの所へ行った。
甘い香りが鼻をくすぐる。