あの時君が伸ばした手は

「そんなことないよ。萌。
私は香菜が好きだった。
だから今こうして香菜が死んだことがまだ信じられなくて……。」

隅田さんが泣き始めた。

「どこかに隠れてて私たちを驚かすつもりじゃないかって……。」

その姿を見て、泣き止んでいた竹田さんの目からまた涙がこぼれ始めた。

しかし桐谷さんは冷たい目で隅田さんを見ていた。


「とりあえず、場所変えないか?ここじゃ人目についちまう。」

岡田の提案で僕達は近くのカフェに入った。