あの時君が伸ばした手は

少し遅れて江角がやって来た。

「久しぶり!」

明るいトーンで挨拶をする。


「こんなときによく笑えるわね。」

やはり桐谷さんが突っ込む。

「俺はみんなの気分を上げようと思っただけで……。」

「上がるわけないじゃない!
そんなので上がれば文句なんて出ないわよ!
みんなホントは香菜がいなくなって喜んでいるんじゃないの?」


その言葉に周りの空気が凍りついた。