あの時君が伸ばした手は

夜道を二人で歩きながらあの日のクラスマッチの話をした。


「俺がフォアボールで一塁にいたじゃん。お前その時何考えてた?」


「あの時か……。あの時はお前が帰ってきたらいいなって思ってた。

それで甘い球が来てバット振ったら当たった。
スッゲー良い当たりだったよな?

お前足速いからそのままホームまで行っちゃってさ。

俺がビックリした。

一塁からホームまで行くやつってあんまりいねーし。」