あの時君が伸ばした手は

僕は構えていたが、カップをテーブルに置く彼女の口は緩い弧を描いていた。

「川本君、まだ捜査続けてたんだ……。」

呆れている様子は無かった。

僕は彼女をじっと見つめる。

「恨んでるって言うとちょっと語弊があるけど。でも香菜には嫌いな部分もあったよ。」

「嫌いな部分?」