『ねぇねぇ、Träumereiってアプリ知ってる?』

『何それー?知らなーい』

『リアル恋愛シュミレーションアプリだって!!』

『あー!!それ、聞いたことある!!』

……

(リアル恋愛シュミレーション?何それ。
リアル脱出ゲームのパクリ?)

通勤途中の電車内。
イヤホンを忘れた私は、
隣の女子高生の会話をBGMに退屈な通勤時間を過ごしていた。

私の名前は、白石 絢香(しらいし あやか)。
今年で社会人2年目のOL。
仕事にも慣れてきたおかげか、生活にも少しずつゆとりが出来るようになった。

平凡。
まさにそんな言葉がぴったりな私。
それでも、日々の生活に特に不満はなく上手くやっていけてる気がしていた。

そんな私の趣味は、乙女ゲームと呼ばれる女性向け恋愛シュミレーションゲームだ。

昔はゲームのイベントにも参戦したり、
グッズ集めに夢中になったりもしたけれど、
さすがに今は少し落ち着いたみたい。

けれど、乙女ゲームへの情熱は今も冷めることなく、新作を見つける度にダウンロードしてしまう程のハマりっぷり。
初めて耳にした【リアル恋愛シュミレーションアプリ】の存在が気になって仕方がなかった。