#恋·恋




てかオーナーってこの人なんだ。


てっきり隣の茶髪かと思った。


「…申し訳ございません。うちの者が……」


「いえ。私もオーナーも全く気にしておりませんので。……では皆さん、開店準備の作業に戻ってください」


そう告げると、茶髪は一度またあの目で私を視界に捉えた。


『………』


静かに見つめ返す。



「「「かしこまりました」」」


背後から聞こえる声とともにすぐさま気配がなくなる。


私も戻ろう。


そう思い、すぐに茶髪から視線を外す。


軽く頭を下げ、慣れないピンヒールに苦戦しながらもこの場を後にした。