#恋·恋




すると突然、皆一斉に頭を下げた。


その姿に私もワンテンポ遅れて頭を下げる。







「――――ここにいらっしゃるんですよね?“体験入店の娘(こ)”」


明るい声色が私の耳に届く。


「はい。おります」


横にいた椿さんが腰をつつくので頭を上げれば、皆の視線が私に向いていた。


「この子です」


そう言いながら椿さんは私の背を押した。


『……わっ』

慣れないピンヒールを履いてる為、背を押された途端によろめく。


でもなんとか持ち堪え、ゆっくり進んでいく。


黒服の満島さんの隣に着き、視線を上げる。


そこにはスーツを着た男性が2人。

「君、名前は?」


『ひとみです…』