すると突然、皆一斉に頭を下げた。
その姿に私もワンテンポ遅れて頭を下げる。
「――――ここにいらっしゃるんですよね?“体験入店の娘(こ)”」
明るい声色が私の耳に届く。
「はい。おります」
横にいた椿さんが腰をつつくので頭を上げれば、皆の視線が私に向いていた。
「この子です」
そう言いながら椿さんは私の背を押した。
『……わっ』
慣れないピンヒールを履いてる為、背を押された途端によろめく。
でもなんとか持ち堪え、ゆっくり進んでいく。
黒服の満島さんの隣に着き、視線を上げる。
そこにはスーツを着た男性が2人。
「君、名前は?」
『ひとみです…』
