信号が赤から青へ変わる。
それは出発のサイン。
向こう側からとこちら側から
一気に人が交差する。
ハイヒールがアスファルトを鳴らす。
クールビズなんて名ばかりの
汗だくのサラリーマンたち誰も私なんか見ていないし誰も誰かを気に止めたりしない。それを冷たいという人も感じが悪いという人もいる。でもこれが私、新川真優(しんかわ まゆ)が生まれ育った街。生まれた時からこの世界が私の日常。誰にも干渉されない広くて自由な世界。私はここTOKYOが大好きだ。
実力主義な所も自分のしたいことをしたいだけ出来るところも私の性に合っている。
私の小さい頃から父はエリート社員で
毎日忙しなく過ごしていた。
父と遊んだ記憶はほぼないが
それを悲しいと思ったことはない。
仕事をこなす父を尊敬していたからだ。
私もあんな人になりたいとずっと夢見ていたのだが・・・憧れの父に地獄に突き落とされるとは思ってもいなかった。
そうそれは進路に悩み始めた高2の冬・・・。