───────はい、会話終了。私は口の中で面倒臭がり男を静かに罵倒する。まったく面白みのない男だ!結局どうなんだっつーの!
「ねえ!?」
だけどもう既にダレ男は食器を流しに運んでしまい、いつもの定位置である座椅子に座って読書を始める体勢だった。私の声は届いているはずだけれど、無視すると決めたらしい。
・・・このヤロー。
私はムカついたので、ヤツの読書を悪意なく邪魔できる唯一の人材である娘を派遣することにする。お茶をのませてゲップさせ、椅子から下ろして父の元へと匍匐前進させることにした。よし、行って来い!頑張って邪魔をしまくるのだぞ、娘よ!
だけど、まだ秋だしね。
私は軽くそう考えていたのだ。お雛様って2月の話だし、いいや、来年になるまでこの話そのものを延期ってことで─────────────
ここで私はまだ、漆原大地という男のことをよく判ってなかったんだなあ、と思うはめになったのだ。
なんと、ヤツは翌日には事態を収束させていたからだ。
それを知らなかった間の私は気楽に日々を過ごしていて、わかってからの私は呆気にとられてぽかんとした顔をしていただけ。
なんと、世紀の面倒臭がり屋であるうちの夫は、ヤツがいつも基本として決めていただろう行動を速やかに実行したのだ。その名は、「人任せ」。



