私はずっと働いて来た。そして長い不倫時代を経て、ぼろぼろになった心身も今のこの幸福でかなり治っている。家もある。大事で素敵な庭もある。だから勿論この家でのんびり家事をすることも計画は出来るのだけれど、ここ半年家に赤ちゃんとこもっていて判ったことが一つあるのだ。
私は、社会とのつながりを愛しく思ってるってこと。
会社員時代は最後は酷かった。それは仕方ない。だって不倫という世間では絶対悪なことをしたのは他でもない私だ。その罰は受けても仕方がない。
それに、そのあとリハビリとして働いた居酒屋でのアルバイトも歯医者でのアルバイトも、やってみればちゃんと出来た(と自分では思う)。それから入った家庭で、私をただ一つ悩ませることと言えば!
会話がない、ってことだ。
会話がない、それって実は、結構辛いことだって知った。
私はそんなにお喋りだとは思わない。一人暮らしは長かったし、一人の時間が苦痛だったわけではない。
だけど、家族がいるのにまともな会話が出来ないってことは、大変しんどいことだったのだ。
うちの夫、大地という男はとにかくしゃべらない。無口、寡黙、滅多に言葉を出さない人に対する表現方法があるだろうけど、うちの夫というのはそれには当たらないかもしれない。なぜなら彼が話さない理由というのが、ただ単に「面倒くさいから」であるというのを知っているからだ。
口を開けば面倒くさいとぬかす男、夫は今回も面倒くさいから親の言うとおりに買わせたら、とのたもうた。
だけど、そうなったらあんたがお雛様の設置を毎年毎年するんでしょうね?といったら黙ってしまって、はい終わり。
ま、それはとにかく。



